2023.01.16
ボイスボットとは、AI(人工知能)を用いて顧客の会話を音声認識し、自動音声応答するシステムです。人員不足や業務効率化など、コンタクトセンターの課題解決に寄与する方法として注目され、業界を問わず導入が進んでいます。
ただ一方で、「IVRとの違いがわからない」「どんな業務に対応できるのかわからない」など、詳細まで把握できていないために、メリット・デメリットの検討ができないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、ボイスボットの仕組みとメリット・デメリット、向いている業務や向いていない業務について、具体的に解説します。コンタクトセンターの課題解決の施策を探している方は必見です。
目次
ボイスボットとは、AI(人工知能)を用いて顧客の会話内容を解析し、自動対応するシステムで、AI音声自動応答サービスとも呼ばれます。コンタクトセンターやカスタマー業務で導入されています。
ボイスボットを使う場合、事前に予測される応答のシナリオを設定しておきます。顧客からお問い合わせが来ると、まずは応答のシナリオで受電しつつ、AIが顧客の会話内容をリアルタイムで解析します。
解析がなされると、解析内容に合うシナリオに沿ってAI音声機能が対話を進めます。音声合成技術の発達により、人間のような自然な発声での応対が可能です。
ボイスボットと比較されるものに、チャットボットとIVRがあります。チャットボットとは、AIがリアルタイムで顧客とテキストのやり取りを行うプログラムで、ボイスボットとの違いは、コミュニケーション手段が音声か、テキストかという点です。
IVRは「Interactive Voice Response」の略で、音声自動応対システムのことです。ボイスボットとの違いは、リアルタイムの会話ができないという点です。IVRは、顧客が用件ごとに用意された番号のボタンを押すことで、あらかじめ用意された音声ガイダンスで案内をします。
想像しやすいのは、宅配便の再配達受付センターに電話をすると、あらかじめ用意された音声案内が流れて、再配達の希望日と時間帯を指定するボタンを選択する場面です。ボイスボットは、顧客の自由な発言に会話形式で対応できます。
この章では、ボイスボットが活用される事例を3つご紹介します。
ECや通販サイトでは、ボイスボットを利用して顧客からの注文受付を自動化することができます。顧客は、電話や音声認識を備えたインターフェースを通じて商品を選択し、注文を行うことができます。また、製品に関する質問や注文状況の確認など、一般的な顧客からのお問い合わせにも対応することも可能です。このように、顧客サービスの効率化を図りつつ24時間365日対応することができるため、ボイスボットの導入は生産性と顧客満足度の向上につながるでしょう。
レストランや美容院、医療機関などのサービス業での予約受付にボイスボットを活用する事例が増えています。顧客は、ボイスボットに直接話しかけることで、希望の日時やサービスの予約を行うことができ、ボイスボットが確認作業を行った上で予約を確定させます。これにより、人的リソースを節約し、受付業務の効率化を実現できるでしょう。
レストランや美容院、医療機関などのサービス業での予約受付にボイスボットを活用する事例が増えています。顧客は、ボイスボットに直接話しかけることで、希望の日時やサービスの予約を行うことができ、ボイスボットが確認作業を行った上で予約を確定させます。これにより、人的リソースを節約し、受付業務の効率化を実現できるでしょう。
ボイスボットのおおきな導入メリットは効率化です。それ以外のメリット、デメリットとあわせて紹介します。
電話対応や後処理を効率化できるなど、業務の効率化です。ボイスボットに自動対応させたり、用件によって適切な担当者に振り分けたりできるなど、応対の自動化によるコスト削減が期待できます。削減できるのは、人件費や応対時間のコストなどです。
ボイスボットによる初期対応の代行で、オペレーターが直接受電する数が減るので、ストレスを軽減できます。また、最初のヒアリングもボイスボットが行うので、内容をある程度把握してからオペレーター対応となることも、負担軽減に寄与します。
ボイスボットによる受付の自動化は、電話のつながりづらさの解消と、待ち時間を短縮できることの2つの点で、顧客満足度の向上を期待できます。音声対話なので、IVRで起きていた、プッシュボタン入力のわずらわしさというストレスも無くなります。
ボイスボットによる自動受付は、回線数不足で起きるあふれ呼や、オペレーターにつながるまでの待ち時間が長いことで顧客が切電してしまう放棄呼の発生を防げます。あふれ呼や放棄呼によるチャンスロスの回避になります。
ボイスボットのシナリオは、表現や言葉を変えるのみで簡単に変更できます。IVRは分岐が増えると変更に手間がかかりますが、ボイスボットは簡単です。期間限定キャンペーンやトラブル対応のシナリオを、柔軟に投入することが可能です。
ボイスボットを導入すると、24時間365日の電話応対が容易になります。顧客からすると、自身の都合にあわせて問い合わせができるので、良い顧客体験となります。
デジタル技術を活用し、作業工数を削減できることでバックオフィスのコア業務にリソースを割くことができます。その結果、主力となる商品やサービスの生産性、品質向上が期待できます。
ボイスボットは、音声をテキスト化して解読したり、読み上げて顧客対応をしたりします。音声のみで情報を伝えることが難しい問い合わせ内容は、個別に図や画像など視覚的なイメージを、オペレーターが伝える必要があります。複雑な回答が必要な内容の場合は、オペレーターに繋がるように設定しておく必要があります。
ボイスボットは音声を認識して分析するため、通信環境や周囲の雑音によっては、問い合わせ内容を正しく認識できない可能性があります。結果として、適切なご案内ができない懸念はあります。
ボイスボットの音声による認識は、顧客自身に番号入力してもらうIVRと比較すると、認識精度としては劣ることが多いです。IVRは、顧客の操作ミスがなければ、確実に正しい情報が得られます。ボイスボットでは顧客の発話内容を聞き返す工夫などで、精度をあげる必要があります。
ボイスボットが向いているのは、単純で定型的な業務です。向いている業務と向いていない業務を、具体的に解説していきます。
ボイスボットは、受付や確認などのオペレーター業務に活用されています。飲食店やホテルなどの予約受付や宅配サービスの注文、資料請求や問い合わせ対応の受付などです。
例えば、ディー・キュービックが提供する「AI電話自動応答サービス)」は来店予約の受付やお客様の注文内容を聴取して自動でデータ化し、バックオフィスで人がデータを補正して業務システムに登録するなど、AIと人のハイブリッドで業務効率化を図るサービスです。
オペレーターが対応できない場合にのみ、ボイスボットを使用することもあります。営業時間外や繁忙期、あふれ呼が発生したときなどの対応です。あふれ呼とは、コールセンターにて入電数が回線数を上回り、オペレーターが対応できなかったコールのことです。
ボイスボットは、個別の対応を求められる業務には向いていません。有人対応が必要な場面もあるので、導入する前に、ボイスボットで対応する業務や目的を明確にしましょう。クレーム対応、相談、カウンセリングなど、感情を読まないといけない場面や、一問一答形式で回答できない内容などには、ボイスボットの導入は避けるべきです。
この章では、ボイスボットを選ぶ際のポイントを4つ解説します。
ボイスボットを導入する際には、トレーニングやセットアップのアシスタンスが提供されるか、また導入後の技術的な問題やアップデートに対する迅速なサポートがあるかを確認しましょう。手厚いサポート体制は、ビジネスが円滑に運営されるための基盤となります。
ボイスボットは効率化を促進するツールですが、全ての問い合わせを自動化することはできません。複雑な問題の場合、スムーズに有人のオペレーターに切り替えられるかが重要です。顧客満足度を保つために、適切なタイミングでのオペレーターへの切り替えが可能か確認しましょう。
ボイスボットを導入する際は、既存のCRMやデータベース管理システムと連携できることが大切です。導入を検討する際は、自社の既存システムとの相性を確認しましょう。
ボイスボットの管理のしやすさも考慮する必要があります。ボイスボット導入後、関係者がスムーズに運用できるよう、直感的に操作でき、シナリオの変更なども簡単に行えるものを選びましょう。これにより、企業はリソースを有効活用し、迅速な対応を維持することができます。
ボイスボット導入は、コンタクトセンターの抱える課題の解消につながります。オペレーターが携わる電話業務の量が減ることで業務効率が向上するとともに、業務負荷が減り人材の定着率が上がります。
顧客にとっても、電話がつながらない、待たされる、IVRの入力ミスでやり直しになるなどのストレスが減り、顧客満足度の向上が期待できます。ストレスが減るのは、一つひとつの顧客体験が重要になっている近年においては、とても重要なことです。
デメリットも把握しつつ、自社の目的に合ったかたちでのボイスボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ディー・キュービック株式会社は、1979年に設立されたコンタクトセンター運営・DX化の専門企業です。多様化するコミュニケーション環境の中で、アナログとデジタルでの「対話」から豊かな「顧客体験」を共創する企業として、クライアントの付加価値創造を支援しています。
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