「As is」と「To be」とは?業務可視化と業務改善のポイント

2024.06.10

企業が直面する生産性や業務効率の課題を解決するために、業務プロセスの見直しが必要不可欠となっています。現状の業務プロセスを把握し、理想の状態へと変革を遂げることが、ビジネスの成長と競争力強化へと繋がります。業務プロセスの整理に便利な概念が、As is/To beというフレームワークです。本記事では、As isとTo beの概念と利用方法、As is/To beを活用した業務プロセス改善の流れをご紹介します。

「As is」と「To be」とは

As isとは

As isとは、現在の状況や状態を指します。つまり、現場で実際に行われている業務の流れや手順、そこに存在する問題点や非効率な部分など、すべての実態を表しています。ビジネスにおいては、現状の業務プロセスに潜む課題や問題点を可視化することが重要です。この現状を正確に把握することで、ビジネスの改善点や課題解決の方針を明確にすることができます。

To beとは

To beとは、望ましい未来の状態や、課題を解決し最適化された理想的な業務プロセスのあるべき姿を意味します。生産性が高く、リードタイムが短く、ミスが少ない、規定のプロセスが徹底されている状態などが想定されます。現状の問題点を解決し、目標やビジョンに向かって進化するといった未来の状態を明確に定義し、実現するための戦略や行動計画を立てることが重要です。
たいていの場合、As isとTo beの間にはギャップがあり、このギャップを認識することが業務改善の第一歩となります。業務可視化、IT活用、標準化などの様々な取り組みを通じて、現状の非効率な業務プロセスから脱却し、生産性の向上や判断の質を高めましょう。

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As is/To beを活用するメリット

As is/To beというフレームワークの活用により、以下のようなメリットがあります。

現状の課題や問題点を客観的に把握できる

As is、つまり現状を正しく可視化することで、それまで見えにくかった業務プロセスの非効率性やボトルネック、無駄な工程などが浮き彫りになります。したがって、課題を明確に把握し改善が必要な領域を特定しやすくなります。問題点や改善すべき領域を関係者間で意識共有しやすくなり、改善の前提となる課題を共有することで、効果的なアクションプランの策定のための議論を活性化することができます。

改善の方向性や目標を明確化できる

To beとなる理想のゴールを定義することで、業務プロセスの最適化に向けた具体的な施策立案が可能になります。自動化や標準化、ITツールの導入など、どのような手段によって改善すべきかの検討が容易になります。全員が共通のビジョンを持つことで、組織やチームは共通の目標に向かって一致し、効果的に行動することができます。

組織全体のリソース最適化やトレーニング計画の策定

As is と To beのギャップは、To beに至るまでに必要なスキルやリソースの現状評価とも捉えることができます。現状のリソースやスキルの偏りを明確にすることで、是正に向けた人材育成やスキルトランスファー、適切なリソースの再配置やトレーニング計画を立てることができます。

プロジェクト推進を加速させる

現状と目標のギャップが明確になるため、進捗状況のモニタリングや評価が容易になります。各業務の改善策について重要度や緊急度を評価し、優先順位を付けることで、必要な調整を迅速に行うことができます。これにより、効果的かつ効率的にプロジェクトを推進にさせることができます。
このようにAs isとTo beという発想は、単に現状と理想を対比させるだけでなく、業務改革を成功に導く上で極めて有用な概念となっています。As is/To beのフレームワークを上手く活用し、現状と未来のギャップを把握して効率よく改善することが、企業の競争力強化につながります。

As is/To be活用のポイント

業務可視化によるAs isの把握

As isの実態を正確に把握するには、組織内で現在行われている様々な業務プロセスを明らかにしていく必要があります。現状の業務プロセスを徹底的に分析、モデル化することで、ボトルネック、無駄な工程、手戻りなどの課題を発見することができます。こうした課題の背景には、属人的な業務運用や古くからの慣習の固定化、IT化の遅れなど、様々な要因が潜んでいます
業務可視化は、そうした課題の根本原因をあぶり出すのに役立ちます。現状把握の過程では、業務プロセスのデータ収集と分析が重要になります。関係者へのヒアリングや現場観察といった定性的なデータと、ITシステム上のログデータなどの定量的なデータを組み合わせることで、As isの実態をできる限り正確に把握する必要があります。

To beを実現するための取り組み

As isの現状分析に基づき、To beとして定義した理想に至るまでのプロセス設計に着手します。業務の効率化、リードタイム短縮、品質向上、コンプライアンス強化などの観点から、新たなプロセスを想定していきます。この際、業務の自動化やシステム化の検討を行うことが重要です。RPAやBPMツールなどのITを積極活用することで、ノンコア業務の自動化や、ワークフローの自動制御による効率化を図ることができます。また、標準化やルール/マニュアル化にも注力します。作業手順の標準化を進め、ナレッジの継承とスキル移転を容易にするためです。ノンコア業務はアウトソーシングすることで、生産性の高いコア業務に自社の貴重なリソースを集中することも業務プロセス改善の一例と呼べるでしょう。

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To beを実装した後は、PDCAサイクルに基づいた継続的な改善に取り組みます。As is/To beに則った改善活動の過程で新たな課題が生じた場合は、さらなる最適化を重ねていきます。こうした継続的改善の実践が、業務改革の成果を大きく左右するでしょう。

As is/To be活用の注意点

As isとTo beというフレームワークを活用する際には、以下のような注意点があります。

As isの現状把握が不十分だと本当の課題が見えない

As isの現状分析が不足していると誤った情報に基づいて改善策を策定するリスクがあります。つまり、本質的な問題点を見落とす可能性があります。関係者からのインタビュー、データ収集、観察などを通じた定性的なデータと作業工数測定やコスト分析などから得られる定量的なデータを組み合わせ、立体的に現状を把握することが重要です。

To beが現実的でなければ活用できない

To beが現実とかけ離れた願望的な設計になってしまうと、達成が困難になりプロジェクトのモチベーションが低下する可能性があります。最新のベストプラクティスなどを参考にしつつ、背伸びをすれば届きそうな現実味のある目標設定が大切です。

関係者の理解と合意が必須

関係者の意見や利害が一致しない場合、せっかくAs is/To beでの分析を経て定めたプロセス改善の取り組みが空回りしてしまいます。プロジェクトにかかわる全員の理解を得るためには適切なコミュニケーションと調整が重要で、そのための合意形成には労力を惜しむべきではありません。

人的リソースの確保とスケジュール管理

As is/To beの分析から設計、実行、PDCAまで、それぞれの段階で人的リソースが求められます。また、プロジェクトの進行中に予期せぬ事態が発生することがあります。目標を達成するためには適切な人的リソースの確保と柔軟性を持たせた計画で、必要に応じて修正できるようにしておくことが重要です。
As is/To beの活用は有効ですが、それ自体が目的化してしまったり、片寄った活用をしてしまうと、かえって業務改革を阻害する可能性があります。上記の注意点を踏まえバランス良く活用することで、プロジェクトや業務プロセスの改善を成功させることができます。

業務改革をするなら業務可視化コンサルティングで解決


ここまで業務改革の重要な概念であるAs isとTo beについて解説してきました。現状のAs isを徹底的に把握し、理想のTo beとのギャップを認識した上で業務プロセス改善を進めていく必要があります。業務の可視化、プロセス設計、IT活用、標準化・ルール化、継続的改善など、様々なアプローチが必要不可欠となります。
業務プロセス改善にお悩みならディー・キュービックの「業務可視化コンサルティング」の活用をご検討ください。業務可視化コンサルティングは業務の可視化だけでなく、プロセス設計、IT活用、標準化・ルール化、継続的改善などTo beへ近づくための業務改革を支援します。

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著者情報

ディー・キュービック株式会社 マーケティング部

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