2023.09.07
DXは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称です。企業がさまざまなビジネスシーンでデジタル技術やデータを活用し、製品やサービスを進化させるとともに、業務の進め方も変革させる施策です。
DXは企業文化や組織そのもののイノベーションを起こすことが目的で、AIやIoTなどデジタル技術の発展に伴う社会やビジネス環境の変化に対応し、競争力を強めていくには不可欠な取り組みと言えるでしょう。この記事では、企業がDXを推進するメリットやデメリットを解説し、導入を成功させるポイントも紹介します。DXを自社で効率的に推進するヒントになるのでぜひ最後までご覧ください。
企業がDXを推進するメリットには主に次のものが挙げられます。
いずれも競合他社に差をつけるために押さえるべきポイントです。1つずつ解説していきます。
DXの推進で製造や販売、在庫管理といった業務プロセスを最適化することにより、業務効率化と生産性向上を期待できます。
具体的な例を挙げると、従来人間が行っていた業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を構築することなどで、データ入力を自動入力に切り替えたり、処理速度を向上させたりすることが可能になります。
また、リモートワークの活用により、商談などの営業活動や社内会議で従業員が場所を選ばずオンラインで仕事をできるようになり、業務効率や生産性を向上させることができます。これらの結果、効果的な人員配置や注力分野への人員増強を図ることが可能になり、競争上の優位性を高めることができるのです。
新しい商品やサービス、ビジネスモデルを開発しやすくなることもDXのメリットです。DXを推進すれば、顧客の購入履歴や市場調査の結果など自動収集した膨大なデータを蓄積し、マーケティングに活用しやすくなります。これらのデータの解析はAIを活用して機械化すれば、より精緻な分析を基にした意思決定ができるようになるでしょう。
近年のスマートフォンの普及でインターネットを利用した消費行動が急速に拡大するなど、市場や顧客の動き方は今後も変化し続けることが予想されます。デジタル技術はこうした動きへの柔軟な対応をサポートし、時代のニーズに沿った商品やサービスの開発を促します。
製造業や建築・建設業、医療・医薬分野などでは、3Dプリンターや仮想現実(VR)などのデジタル技術を活用すれば商品やサービスを手軽に試作できるようになり、コスト圧縮や開発時間の短縮も期待できるでしょう。
DXの推進は、古いシステムから新しいシステムに乗り換えるきっかけにもなります。経済産業省が発表した「DXレポート〜ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開〜」では、DX推進の課題の1つに既存システムの老朽化が挙げられました。
7割の会社が老朽システムの存在がDXを進める足かせとなっているというのです。その理由としては「ドキュメントが整備されていないため調査に時間を要する」が49%で最も多く、「データ連携が困難」が46%で続きました。
レポートでは、開発に携わった人材の定年退職や事業部ごとに規格の異なるシステムが乱立することなどでシステムがブラックボックス化し、マネジメントが難しくなることが、レガシーシステム問題の本質にあると指摘しています。DXを進めることは、老朽化や属人化などの問題を抱える既存体制から脱却し、積極的なデータ活用が可能になる最新システムに適合させるチャンスになります。
※出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(簡易版)
(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf)
緊急時の事業停止リスクを回避して経済損失を抑えることも、DX推進のメリットです。DXに取り組むことは、BCP(事業継続計画)策定の充実にもつながるからです。BCPとは、企業が災害やテロなどの緊急事態に遭った際、被害を最小限に抑え、事業継続や早期復旧を可能にするため、平時の取り組みや緊急時の動きを決めておく計画です。
従業員が遠隔地でも働けるリモートワークを推進することで、機能の分散が可能になります。コロナ禍が始まった2020年、人との接触を避けるため多くの企業が在宅勤務を推奨するとともに、BCP策定に対する注目度も高まりました。DXにより業務効率の最適化が進めば、災害発生時に人手が足りないことによる事業停止リスクも抑えられます。
新しいシステムやツール、業務プロセスを導入することで、企業は緊急時の事業停止リスクを抑え、商品やサービスを提供し続けることが可能になります。
DX推進は、働き方改革の実現と推進が期待できる意味でも重要です。デジタル化の取り組みでAIやクラウド、ビッグデータなどの新技術を活用すると、業務プロセスを劇的に短縮できます。
時間外労働の削減や単純労働の軽減で、より創造的な仕事に時間を使えるようになるのです。従業員の仕事に対する満足度向上にもつながり、定着率のアップも期待できます。オンラインツールの活用でテレワーク導入も容易になり、育児中の人や遠隔地に暮らす人など多様な働き方を希望する人材を受け入れやすくなるでしょう。
企業がDXを推進する際にはデメリットや懸念点にも注意する必要があります。
以上について1つずつ確認していきます。
DXの推進には、一定の初期費用やランニングコストがかかるのがデメリットの1つになります。新しいデジタル技術や基盤システム、ITツールの導入には多額の投資が必要です。社外に発注するなら外注費がかかり、社内で対応するなら人材を増やす必要があるかもしれません。
導入時も既存データの移行に時間やコストを要するほか、新たな業務マニュアルの整備などに人的リソースも必要になります。従業員が新しい仕組みに慣れるまでの期間は生産性低下も意識しなければなりません。導入初期にかかるコストとメリットを比較しながら慎重に検討することが重要です。
企業がDXを推進する際、新しい仕組みや社内システムなどに従業員が慣れるまでに時間がかかり、すぐには成果につながらないケースがあることも注意点となります。コストと時間を費やして新たな技術を導入したのにも関わらず、予算や人員を中長期的に確保する必要に迫られることもあります。DXを推進するには継続的な取り組みが必要です。
新しい業務フローを取り入れることで、従業員の教育や古いやり方の見直しも求められます。従業員から抵抗や不安の声が上がることも予想されることから、DXを推し進めるには全社的な協力が欠かせません。
デジタルやIT分野の知識・ノウハウに詳しい人材が必要になることは、DXを推進する懸念点となり得ます。IT分野では人材不足が課題の1つです。経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査(概要)」では、IT人材は2030年に最大で79万人も不足するとの試算が示されています。
DXのための人材確保は中小企業にとって容易なことではありません。デジタル・IT分野に精通した人材を獲得できる人事政策を進めるには、相応の報酬や戦略が求められるからです。
研修などで既存社員を教育する人材育成も重要であり、一定のコストも必要になります。DX推進に当たっては、人材の育成や確保がハードルとなりうる点に留意してください。
※出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」
(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf)
企業のDX推進を成功させるポイントは主に次の3つがあります。
1つずつ見ていきましょう。
企業のDX推進を成功させる1つ目のポイントは、経営者がその経営戦略に基づく明確なビジョンや目標を社員と共有し、浸透させることです。社内業務のDX化には全社的な協力が不可欠です。新しいシステムやプラットフォームを既存業務に取り入れたり、仕事の進め方を大きく変えたりする場合には、従業員が抵抗感を覚えることが予想されるためです。
社内で広く協力を得るためには、経営者がDX推進の背景や明確な目的をわかりやすく示し、多くの関係者の目を同じ方向に向けることが大切です。新しい業務プロセスを定着させるには、事業部や部署を横断して進めることが重要になります。
企業全体でまとめてDX化を進めるのではなく、部分的に新しい仕組みやデジタル技術を導入していくことが、DXを効果的に推進するポイントです。
DX推進には新システム導入などで多額の初期費用や人材が必要になり、運用面でも一定の人的リソースが求められます。一方でスキル面ではすべての社員に一定のITリテラシーがあるとは限りません。
一定レベルに達していない社員が多い部署よりも、ITスキルが高い社員が多い部署やチームから積極的に導入することで効率性が増します。部分的に導入を進めることで、自社業務への適否を検証しながら取り入れていくことも可能です。
DXの推進を成功させるには、DXに関わるスキルやナレッジを管理・共有する仕組みが欠かせません。多くのコストと時間をかけて新しい技術やツールを開発しても、その導入方法や操作、仕組みを理解しているのが一部のエンジニアやITスキルの高い社員だけでは、十分な効果を発揮できない状況になります。
そのため、デジタルテクノロジーに精通していない社員でも日常的に使いこなせてトラブルに対応できる仕組みづくりが重要です。DXに関わる技術は常に進化しています。継続的に管理できる体制が大切になります。
DX推進は、製造や営業現場などの生産性向上や新規ビジネス創出といった企業課題のソリューションを見出すために重要な取り組みです。災害対応や働き方改革などの面でも、多くの日本企業にとってメリットとなる可能性があります。
DXの環境整備にはコストや時間を要するのが課題です。ただ、中長期の視点で取り組むことが、将来的に競合他社より優位性を持つために重要になります。経営層も従業員も新しい技術を取り入れるメリットとデメリットを正しく把握し、必要性を共有しながら戦略的に導入を図ることが大切です。
コールセンターの運用委託から業務のデジタル化まで。
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