2022.11.25
人手不足が深刻化するコールセンターでは、近年、AIの導入によるDX化(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。
DX化により、コールセンター・コンタクトセンターの業務効率化が期待できます。オペレーターの数が足りないことで起きていた放棄呼やあふれ呼を、AIによる一次応答を導入することで削減でき、オペレーターの業務負荷軽減にもつながります。
この記事では、コールセンターでAIの活用が注目されるようになった背景と、AI導入時の注意点について解説します。コールセンターのAI導入に関心のある方は、ぜひご一読ください。
目次
コールセンターでは慢性的な人手不足が続いており、AIの導入によるコールセンター業務の負担軽減が急務となっています。まずは、コールセンターのAI活用方法について基本的な理解を深めていきましょう。
AI(人工知能)とは、人間の知的活動の一部をソフトウェアが人工的に再現したものです。AIは人間のように、新しい経験や顧客のデータ入力履歴から学習し、成長していきます。
AIと、いわゆるプログラミングによるシステム化の違いは、成長できるかどうかです。AIは、経験が増えることで成長していきますが、プログラミングによるシステム化は一定の規則に基づいた処理のため、AIのように成長することはありません。
コールセンターでは、チャットボットやボイスボットなどのAIツールが活用されています。
チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ボット(機械)」を組み合わせた言葉で、コンピューターが自動的に会話を行うプログラムのことです。ホームページなどに設置され、受付や注文などのフロント業務を担当します。
チャットボットには次のような種類があります。
●AI活用型
●シナリオ型
●辞書型
AI活用型は、膨大なデータからAIが状況に合った回答を導き出します。一方のシナリオ型や辞書型は、あらかじめ決められたシナリオや辞書のデータベースを基に回答が自動的に行われます。
ボイスボットとは、ネットワークを通じてリアルタイムに音声によるメッセージを交換するシステムです。自動音声案内サービスとして利用されており、従来のIVR(自動音声応答システム)に比べて利便性が向上しているのが特徴です。
IVRの場合は、音声ガイダンスに従って顧客がボタンを押してから、さらに次なるガイダンスを待つ必要があり、時間がかかります。一方、AIのボイスボット対話形式のため、自然でスピーディーな応対が可能になります。
コールセンターでAIの活用が注目されている背景には、AI技術の発達があります。
かつては用途が限られていたために導入のハードルが高かったAI技術ですが、多くの企業で導入が進んだことにより、活用方法の成功事例が蓄積されてきています。それにより、AIの精度が向上し、業務効率化や応答の平準化のためにAIを取り入れるコールセンターが増えてきているのです。
また、昨今ではChatGPTに代表される「生成AI」の活用が積極的に模索されています。例えば生成AIを活用したチャットボットやボイスボットにより、過去の顧客データや履歴をもとにしたパーソナライズドサポートや、顧客の問題に合わせた最適な解決策を提案できることで、より優れた顧客体験の提供を可能にすることが期待されています。
コールセンターにAIを導入するメリットの一つは、放棄呼や、あふれ呼による機会損失の削減です。あふれ呼とは、コールセンターへの問い合わせがオペレーターや回線数を超え、応対できていない状況です。放棄呼とは、オペレーターにつながる前に顧客が電話を切ったり、システム側が機械的に電話を切ったりすることを指します。
AIが搭載されたIVRなら、ヒアリングを自動化でき、機会損失の削減につながります。また、夜間や早朝などの営業時間外の有人対応による工数削減も期待できます。
現状、多くのコールセンターには、オペレーター不足により応対ノウハウなどのナレッジが属人化しやすいという課題があります。
また、イベント開催時や繁忙期など、コールセンターへの問い合わせが増えるタイミングで対応しきれないことも大きな課題です。あふれ呼の発生により電話がつながり辛くなり、顧客は自社への不満を募らせます。また、あふれ呼の増加は放棄呼の発生原因ともなり、放棄呼の増加は機会損失を多く招くことになります。
これらの課題を解消するためには、オペレーターの増員が必要です。しかし、コスト削減から新規採用が進まず、新規採用ができたとしても、人手不足のために教育に手が回らないなど、人材育成の面でも課題があります。
こうなると、オペレーター増員は外部へのアウトソーシングを頼るしかなくなります。しかし、組織構成や業務体制にうまくいかない原因があれば、根本的なソリューションにはなりません。
このように、コールセンターにはさまざまな課題があります。AIの導入は、人手不足や業務効率化、人材育成などの問題に対して根本的な仕組みの変換を実現する対策です。
結論からいうと、コールセンターからオペレーターがいなくなることは考えにくいでしょう。
AIの活用は業務を効率化する側面が大きいため、元になる業務を担っているオペレーターによるコミュニケーションは必要です。現状、AIには定型的な問い合わせへの対応が期待されています。 受付や予約、本人確認などのフロント業務はAIが担当し、空いたリソースをオペレーターが必要な業務に回せるのが、AI導入のメリットといえます。
AIの導入は業務効率化や顧客満足度の向上など、さまざまなメリットがありますが、AI任せにしておいてはうまくいきません。AIはあくまでも業務をサポートする役割であることを意識しましょう。
・オペレーターの負担を軽減できる
AIを導入するメリットのひとつは、オペレーターの負担を軽減できることです。コールセンターにおけるAIの代表的なものとして、リアルタイムのレコメンド支援システムがあります。
これは、AIが顧客との会話をリアルタイムで分析し、関連度の高い回答をオペレーターに提示するシステムです。レコメンド支援システムにより、オペレーターが顧客対応のマニュアルを覚える負担や時間の削減につながります。
・待ち時間が短縮されるため顧客満足度が向上する
AIがオペレーターに代わって用件を受け付け、AIによる回答が難しい場合はオペレーターに転送します。電話がつながらないストレスが軽減され、転送による待ち時間が短縮されることで、顧客満足度の向上につながります。
・あふれ呼や放棄呼が減ることで売り上げアップが期待できる
AIの導入は、あふれ呼や放棄呼の削減につながります。たとえば、AIが顧客の話を認識し、内容を分析したうえで、あらかじめ用意しておいた回答を顧客に伝えるなどの方法があります。ピーク時に電話を予約受付し、ピークアウトしたあとに折り返し電話する方法も効果的です。
いずれの場合も、オペレーターがその場で電話を取れないことによる機会損失を防ぐことになり、売り上げの向上が期待できます。
・導入には時間とコストがかかる
コールセンターにAIを導入するデメリットとして挙げられるのが、コストと時間がかかることです。
AIのシステムを導入する際は、一般的に初期費用がかかります。運用に必要な月額料金や保守管理費用といったランニングコストも考慮しなければなりません。
また、AIは導入すれば、すぐに機能するわけではありません。シナリオやFAQの設定、マニュアルの整備など、自社のコールセンターの状況やサービス内容に応じて初期設定やカスタマイズを行う必要があり、相応の手間と時間がかかります。
・責任の所在が分かりづらくなる
責任の所在が分かりづらくなることも、AIを導入するデメリットといえます。AIの判断は、「なぜその判断をしたのか」という理由を解明できない技術的な性質があります。つまり、判断ミスがあった場合でも、理由が分からないということです。
人がミスしたときのように、誰のどのような行動が原因か後から問うことはできないため、AIの判断について誰が責任を引き受けるかを、あらかじめ決めておく必要があります。
コールセンターへのAI導入は、目的を明確にして自社に合ったシステムを導入し、導入後の運用まで見据えて進めることが大切です。具体的なポイントを見ていきましょう。
AIのベンダーには、それぞれ強みがあり、提供するサービスにも違いがあります。 使いやすさやカスタマイズ性の高さ、安くてシンプルな機能など、導入する目的にあった特徴を持つサービスを選びましょう。例えば、高齢者のユーザーが多い製品のサポートにおいては、対話を自然かつ流暢に行う能力が重要になるでしょう。この場合、自然言語処理に優れたAIモデルを有していることを重視するべきと考えることができます。また、アップデートが頻繁に行われる製品のサポートでは、学習機能や自己改善機能に優れたAIモデルや、アップデート情報の反映に手間がかからないサービスを優先的に導入検討すべきです。このように、自社のビジネスモデルや社内で抱えている課題に応じて、最適なAIシステムを検討することが重要です。
AI技術は情報の更新が目まぐるしい業界です。そのため、導入後のアフターサポートの有無は費用対効果に大きく影響します。機能やサービスのアップデート対応は必須といえます。
また、コールセンターでのシステムトラブルは、顧客満足度の低下につながるため、サポート体制についても確認しましょう。
コールセンターのAI導入なら、ディー・キュービックが提供する「AIクラーク」がおすすめです。AIクラークは、コールセンターの業務を効率化したい、オペレーターの人手不足で教育にまで手が回らないという課題をAIでスマートに解決します。
AIクラークは、顧客対応の自動化における一連の流れをサポートします。 受付や本人確認、プラン変更などのフロント対応はAIに任せ、従業員は主にバックオフィスを担当します。空いたリソースを、ヒトでなければ対応できない業務に回すことができるため、テレワークや人手不足にも対応しやすくなります。
AIクラークのサービス内容を具体的にご紹介します。
AI電話自動応答サービスは、企業の代表電話などの受付対応や、予約受付、商品注文の受付電話なども自動化できるサービスです。顧客からの入電内容を自動でテキスト化し、指定の担当者へ用件をメールで伝えます。
営業電話の対応をゼロへ。ディー・キュービックのAI電話自動応答サービス
FAQは「よくある質問」のことで、顧客からの質問と回答をセットにしたものです。AI FAQ構築サービスは、問い合わせ履歴をもとにAIが自動でFAQを構築するサービスで、最短3週間でFAQを作成できます。
FAQの充実化はエンドユーザーの問題自己解決力を向上させ、問い合わせ入電数の削減により、あふれ呼や放棄呼の発生を減らすことへも寄与します。また、コールセンターの新人教育など、社内向けの用途にも活用できます
AI技術は発展途上にあり、ヒトに取って代われるものではないのが現状です。しかし、AIによってコールセンターのあり方は着実に変わりつつあります。企業としては、どの部分をヒトが担当し、どの部分をAIに任せるのかを見極めることが大切です。
ディー・キュービックは日本初のテレマーケティング事業者として、AIを活用したコールセンターのDX化を推進しています。DX化は、自社の課題を整理するところから始まります。少しでも気になったら、お気軽にご相談ください。
ディー・キュービック株式会社は、1979年に設立されたコンタクトセンター運営・DX化の専門企業です。多様化するコミュニケーション環境の中で、アナログとデジタルでの「対話」から豊かな「顧客体験」を共創する企業として、クライアントの付加価値創造を支援しています。
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